わたち猫なの 草木塔事始 8
魔女、両手で猫を抱き上げ、立って軽く揺さぶりながら舞台を歩き回る。
魔女 「ダーク。やっぱりお前は天才猫のお利口ちゃんね。その後はどうなっ
たの?」
ダーク「どうなったのかは知らにゃいわ。わたちのほうが、女房より早く別の
世界へ出かけてしまったもん。あーっ、のどが渇いちゃった。お母さ
ん。冷たいミルクはないの? 脂肪が足りなくなると毛皮の艶がなく
なっちゃうから、一緒にシュウクリームね。なかったらレディボーデ
ンでもいいわ」
魔女 「呆れた贅沢猫ね。お前は」
ダーク「早くう、頂戴にゃ~お」
魔女 「はいはい好きなだけあげるわよ。お前に聞いた話をD博士に書き送って
あげればきっと喜んでくれると思うわ」
魔女、上手に去りホリゾントにミルクを飲む猫の影。再登場した魔女が椅子に座りノートパソコンの電源を入れ作業を始める。
舞台が暗くなり夜の時間。魔女、電気をつけて書き続ける。
ミルクを飲み終わった猫、手で口の周りを拭き大きな欠伸をする。
ダーク「さあてと、今夜は満月で猫会議があるから出かけるわ。お寺に行って
ノラの話でも聞いてこようっと」
幕が下りる。