わたち猫なの 草木塔事始 4

魔女 「おまえねぇ。与太話でお茶を濁せる相手じゃないでしょ。自然環境を
    テーマにするなら、『なぜ起こる深層崩壊?』異様な温度上昇による
    生態系の変化と、局地的な集中豪雨、それを占星学的立場から解釈す
    ればこうなるわけなの。土地を支配する山羊座に移動した冥王星、気
    象を司る天秤座の土星、牡羊座に移動した木星と天王星が大いに関係
    しているの。という話なら私は専門家だからいいけれど、草木塔関連
    の話となると、研究そのものはだいぶ進んでいるんだと思うし、それ
    の専門家に、この私が太刀打ちできるわけもないし………。うーん困
    ったわ。お前何か面白い話を知らない? 過去世の記憶装置は働くん
    でしょ」
ダーク「勿論いつでも自由自在よ。でも、わたちが知ってるのは平家の落人部
    落に居た時の事だけだけど…」
魔女 「それって何時頃なの?」
ダーク「多分五、六百年前の事だったと思うんだけど」

ホリゾントに山の影絵が動く状態で映し出される、猫の話に従って場面が進行していく。

ダーク「人里から離れた凄い山奥で、大きな川が流れている場所なの。そこで
    はわずかな人数で助け合って暮らしていたの。里人と会うのは仲間の
    男一人だけで、あとはみんな仲間としか話をしないの。わたちの額み
    たいな土地を耕して少しばかりの食べ物を作って……」
魔女 「あらお前、わたちの額って事は自分が猫だっていう自覚はあるのね。
    他に彼らは何をしていたの?」