わたち猫なの 43

「僕もどう扱っていいかわからなくなってしまいました。そんなに魔女さんが気に食わないなら、顔を合わせないように、本堂の方にでもいたらいいじゃないか。彼女が用事を済ませるのに半日もかかるわけじゃないだろ。
『そうね。そうするわ』とその時は言うんですが、魔女さんの声を聞くと、僕より先に玄関に飛び出していくんですもん。それで顔を見れば、お茶飲んで、お茶を一服って馬鹿の一つ覚えみたいにお茶に誘って……。実際のところ庭の手入れの職人や石屋さんが来ても、はなっからお茶飲みばっかりして、へらへらお喋りしているんですよ。仕事に来て、お茶を先に飲む奴がどこの世界にいるんだって思いませんか。お茶飲みが3時間で仕事は1時間。それでお金払うのは僕ですから、もう厭になっちゃいますよ。おっと話がそれちゃって失礼しました。実際本当に困ってるんですよ」
「私に対してはいつだって彼女は立派な態度よ。今まで粗略に扱われたことは一度もないわ」
「信じられませんね。供養塔の話の時は、やたらあなたを褒めちぎっていたかと思えば、別の時にはあんな女を寺に出入りさせるなんて大問題よ。好きなように寺を引っ掻き回すに決まっているんだから。と言ったりして、どっちが本音かわかりませんよ」
「でも本当に彼女は私に立派に振舞うのよ。話の内容は別としてね」
「えぇ、どんな話をするんですか?」
「あなたの給料が幾らとか。役員会が40万の給与を支払うって言ったら、若和尚は年の割合には立派な人で、寺を再興するまでは20万でいいって言ってそう決まったのよ。というような事よ」
「エーッ、そんな話を………」